ファイトクラブ(感想・ネタバレあり)
あらすじ
平凡な会社員である主人公は、不眠症に悩んでいた。主人公は、医師の勧めで自助グループに参加し、癌患者と泣く事により、精神的な安らぎを得た。これを機に、主人公は患者と偽って、自助グループ通い始める。不眠症が改善し、精神的な安定を得た主人公は、自助グループで、あきらかに患者ではない女、マーラと出会う。彼女の存在によって、主人公は自助グループで泣けなくなってしまう。
不眠症が再発した主人公は、自分と葉正反対の性格をもつ男、タイラー・ダーデンに出会う。タイラーが「俺を殴れ」と主人公に頼んだことがきっかけで、2人は、本気の殴り合いを行う仲になる。始めは2人で行っていた殴り合いも、次第に参加者が増え始めたことで、タイラーは、1対1でファイトを行う、「ファイト・クラブ」を結成する。
前回記事にした、ベイビードライバーで、映画内のテレビ画面でファイトクラブのシーンが一瞬出て来たので、ファイトクラブの感想も書こうと思います。(少し前に観た映画なので、色々間違っているところがあるかも知れませんが、ご了承ください。)
ファイトクラブは、
ブラッド・ピッドが格好良い!
そう聞いて、観た映画です。
元々は、ブラット・ピットが大好き!と言うわけでは無かったんですが(失礼)、この映画で好きになりました。
ブラッド・ピッドは悪い男が似合いますね。
ファイトクラブを観て以降、ブラット・ピットが良い人を演じている映画は、
何か違う気がする…
そう思うほどになってしまいました。(褒めてますよ!)
そして、主人公のエドワード・ノートン。
演技力が凄い
ファイトクラブでの、狂気的な演技に痺れました。
この映画は
少なくとも、2回は観るべき
と思っています。出来たらもっと観て欲しい。
全部観てから、もう一度観ると、別の見方ができて面白いです。
観るたびに、発見がある作品です。
以下、ネタバレ含みます。
ややこしいので、
エドワード・ノートンが演じる役を「主人公」
ブラット・ピット演じる役を「タイラー」
として書いていきます。
①自助グループで色々解放しちゃったのかな?
不眠症に悩む主人公は、医師の勧めで自助グループに通い始める。
こういう自助グループは、アメリカのドラマとかで観た知識しかないですが、
見知らぬ人に自分の話をすることで、心の安定や承認欲求を満たす場所
なんだろうと解釈しています。
映画を観ながら、
自分の社会生活には関係のない人達に、悩みや意見を聞いてもらう場なのかな。
話すことって精神的に良いことなんだな。
と、どうでもいいことを考えていました。
様々なグループに通うことで、主人公は精神的に安定していきます
癌でもないのに末期癌患者としてセミナーに参加したり。
悩んでいるふりをして参加したり。
主人公は、たとえ嘘であっても悩みを告白する。
そして、泣く事で精神的に解放される。
これがきっかけで、タイラーが姿を現し始めたんだろうなと思っています。
自助グループで、自分の本心を語る人達に感化され、
自分を解放して良いんだ
思うままに生きていいんだ
と思うようになり、自分を解放した結果、タイラーが現れたんじゃないかと思っています。
②この映画の登場人物は、皆ヤバい
主人公に、俺を殴れと言ったタイラー。
うん、ヤバい人決定。
頭おかしい。
ファイトクラブで、美形の若い子をボコボコにする主人公。
この男の子、タイラーに気に入られているから嫉妬したんだな。
主人公もタイラーと同じくらい、ヤバいなぁ。
そして、タイラーにサイコ野郎と冷たく言われ、
「美しい物を壊してやる」(そんな感じの台詞)
そう言った主人公は、殆ど無表情。
ここから、愛と憎悪の話が始まるのか?
そう思いながら観てました。
実際は違いましたけど…
ヤバい人に魅力を感じた人達が集まったら、そりゃヤバい軍団になりますよね。
タイラーの人望もあり、ここから、どんどんファイトクラブが危険な組織になっていくわけです。
決して、いい女としての登場ではなかった、精神を病んでいたように見えたマーラが、一番常識人で良い人に見える不思議…
③嫌な奴から始まったマーラが、一番の理解者に
主人公が通っていた自助グループに、明らかに浮いてる女の人が…
主人公は、嘘ついてるけど、まだ良いよ。地味で馴染んでるから。
それに引き換え、真っ黒い服とタバコって…
いやいや、何かしらの病を患ってる人の集まりだからね。
もう少し馴染む努力しようよ。
そんな格好していたら、主人公じゃなくても気にするって。
そんな浮いた女、マーラと出会う事で、主人公は不眠症を再発。
主人公は、自分の感情を吐き出す人たちの中で、自分も感情を出して、それに安心感を覚えていた。
なのに、感情を出さない謎の女が目の前に現れたら…。
うん、確かに気になるし、気に入らない。
始めは主人公も、
「マーラは腫瘍のような女だ」
と言っていたけれど、次第に惹かれ合っていくのは、結局似た者同士だったからからだと思っています。
最終的に、マーラは
主人公の信者じゃなく、対等な唯一の存在
になったんじゃないでしょうか。
主人公にとっては、悪魔というより、天使…
ダークエンジェルですね(笑)
④ブラット・ピットが格好良い
ブラット・ピットは、ユニークで危険な石鹸売りの男、テイラーとして登場。
「俺を殴れ」のヤバい人です。
前評判で、
ブラット・ピットが格好良い!
と聞いていたので、多少ハードルが上がった状態で観ました。
結果…
格好良かったですね!
冒頭でも書きましたが、ファイトクラブを観て以降、
ブラット・ピットに良い人は似合わない
と思ってます。
それくらい、ファイトクラブでブラット・ピットが格好良かった。
鍛えてあるなー
良い体してるなー
とは思いましたけど、筋肉が良かったとか、殴り合うところが良かったのかというと、そうじゃないんです。
赤いジャケットが似合う。
サングラスが似合う。
ノリが軽めの悪人のイメージにピッタリ。
ノリは軽いけど小物感は無く、どっしりした大物感。
このタイラーは、敵にしちゃダメだと思わせる迫力。
うん、素晴らしい!
⑤エドワード・ノートンの演技力に痺れました
後半に、主人公が自分で自分を殴るシーンがあるのですが、
ここでは、主人公への感想以上に、役者さんの演技力が凄いなと感動しました。
(主人公に対しては、「あー、ファイトクラブで悪影響受け過ぎ。色々馬鹿になってるなー。」くらいしか考えてませんでした。)
主人公役の、この人、凄い!
シンプルに、そう思いました。
この凄い人、誰?
ふむふむ、エドワード・ノートンっていうのね。
あのシーンで、1瞬にして好きになりました。
いつか、他のエドワード・ノートンの出演作も、観てみたいなと思っています。
「真実の行方」「スコア」「アメリカン・ヒストリーX」…
エドワード・ノートンのデビュー作、「真実の行方」
その後も、エドワード・ノートンの演技力が光るシーンばかり。
タイラーから、真実が告げられて以降の、
タイラーと2人で(本当は主人公1人で)殴り合うシーン
タイラーに瓶の飲み物を渡すが、実際は主人公しかいないので、瓶が手から離れ、地面に落ちて割れるシーン
印象に残っています。
⑥最後にやってくる驚きの展開
初見では、映画を観ながら
どんなエンディングになるんだろう?
そう思ってました。
主人公とタイラーが始めたファイトクラブ。
ルールを決め、クラブに参加する人を厳選していくことで、タイラーの人望によって成り立つ組織になっていく。
内輪で楽しむものだった筈のファイトクラブが、ついに、主人公の知らないところで、犯罪を犯す反社会組織に…
ヤバい方向に自体が進んでいて、主人公も組織も、もう戻れない雰囲気。
うーん、これ、主人公はどうなるんだろう。
タイラーに反発して、殺されるのか?
タイラーに染まって、闇オチするのか?
それともタイラーを殺しちゃうかな?
或る意味、間違いじゃない部分はあったのですが…
それ以上に、色々違ってましたね。
そして、後半の謎解きシーンへ。
タイラーを探し、あちこち回る主人公。
少しづつ仄めかされる真実に、混乱。
主人公も混乱していましたが、私も同じくらい混乱しましたよ。
バーテンに、「タイラーはあなたですよ」と言われた主人公
(私は、タイラーが主人公の顔に整形でもしているのか?と思ってました。)
そして、主人公は、混乱しながらもマーラに電話
(私は、何でマーラに電話して、自分の名前を聞いてるんだろう?と思ってました。)
マーラの台詞
「あなたはタイラーでしょ?」
え?どういうこと?
そしてタイラーが登場し、主人公に
「俺はお前だ。」
と分かり易く説明。
そこで、私はようやく理解しました。
この時、私の察しは凄く悪かったです。
主人公より察するのが遅かったです。
分かった途端、驚きでドキッ!としました。
そういう展開かー!!
もともと、この映画は、
「ブラットピットが格好良い」
それしか聞いていなかったので、良い意味で裏切られました。
どんでん返しがあるんだ
事前にそう聞いていると、ある程度予想してしまうのですが、この時は何も考えていなかったので、驚きが大きかったです。
この作品には、色々な伏線が張られているのですが、初見では全く気付きませんでした。
事実を知ってから、改めて観直すと、
主人公とタイラーが2人で会話しているシーンはあっても、第3者がいる場面では、主人公とタイラーは一緒の画に映らない。
マーラも、主人公とタイラーが同一であることを示唆する台詞を、何回か言っている。
などなど…
本当に作り方が上手い画だなと思います。
そして、主人公とタイラーが同一である可能性に初見で気付けなかったのが悔しい…!
⑦よく分からなかったエンディング
最終的に、タイラー(自分の顎)を撃つ事で、タイラーを制した主人公。
そして、銃で顎をぶち抜いた血まみれの主人公が、マーラと手を繋ぎながら、次々と爆発していくビル群を眺める。
このエンディングを観て、私は、
何この結末?
主人公は悟った顔してるし、別の人みたいに覚醒してるっぽいけど、よく分かんない。
この映画、主人公とタイラーが同一だってわかる部分がピークで、エンディングは惰性だな。
まあ、エンディングはなんかよく分かんないけど、ブラットピットの格好良いし、エドワード・ノートンの演技力が凄いから良いか
そう思いました。
でも、
このブログを書く為に、あらすじをしっかり思い出そうと、色々なレビューや感想、解説を読んで、
なるほど、このエンディングには、こういう解釈もあるのか
と、目からウロコでした。
ファイトクラブの考察、楽しめました。ありがとうございます。
次にファイトクラブを観る時は、エンディングも楽しめそうです!